勝林寺 人と暮らしの間にあるお寺

勝林寺について 拈華堂(ねんげどう) 〜本堂〜

by TEZUKA ARCHITECTS

訪れる人を迎え、包み込み、
つなげる場をつくる。

住職の人生の中で大きな転機になったのが東北の震災でした。被災地に何度か足を運ぶ中で、お寺が地域の人々の支えとなっている姿を目にし、お寺の「未来」を感じました。
お寺には、人を包み込み、ホッとさせてくれる場の力があります。祈りの場として、訪れる人を温かく迎え、懐かしさと未来へのつながりを感じていただけたら・・・・・・そんな願いのもと、住職は本堂の建築プロジェクトを開始。設計はそうした「場づくり」を実践されている建築家、手塚貴晴・由比氏にお願いをすることになりました。

そして完成したのがこの「拈華堂」、つまりは本堂を中心とした勝林寺の建物です。この「拈華堂」という呼び名は、古来、勝林寺で方丈(本堂)を示す言葉。今回のプロジェクトを機に、この呼び名を蘇らせることにしました。
日本文化を映した総木造。金物を最小限に抑え、伝統の匠の技を頼りに組み上げられています。二重に重ねられた深い軒と蔀戸。太い柱や梁を彩るのは古来から日本の建物を守り続けて来た渋墨。夏の熱い陽を遮り、梅雨の長雨を凌ぐしつらえが日本の風土に調和します。また、勝林寺の永い歴史と未来への営みを見据え、最新の構造計算技術を駆使して、数百年の時を超える仕様を実現。お寺の「未来」を体現していく新しい場が誕生しました。

「拈華堂」の由来について:
「拈華」とは「華をつまむ」という意味。禅宗で伝えられるお釈迦様の故事、「拈華微笑」がその由来です。お釈迦様が説法をする際、一本の華を持ち、何も話さずにいました。その所作の意味を測りかね、沈黙してしまう弟子たち。しかし、その中で魔訶迦葉尊者だけが、にこりと笑って悟りをひらき、そこで法が伝わったと云います。この故事から、禅宗では「言葉を使わずに、心から心へ伝えること」を意味するようになりました。
この呼び名には、「ご先祖様の想いや、亡き人への想いがこのお堂を通して、心から心へと伝わってほしい」という想いが込められています。日々の暮らしの中に、このお堂があることが皆さんの幸せにつながれば幸いです。

外観

悠久の時を刻む木組みの佇まいです。深い軒に包まれた渋墨磨きの格子戸が、境内に緩やかに溶け込み、仏を穏やかに包み、訪れる人々を迎えます。

内観

柔らかな光と影が織り成す禅の空間です。微かに垣間見える外の景色が、現世と来世が重なりあう表裏一体の関係を表現しています。

客殿

1Fコミュニティースペース

法要の待合室や寺子屋などの催しを開催する
多目的スペースです。

2F書院

茶道のお稽古や法事の後のお食事などでお使いいただいております。

バリアフリー

勝林寺はご年配の方や障害をお持ちの方にもスムーズに移動していただけるように参道から客殿、本堂、納骨堂に至るまで完全バリアフリーの設計となっております。